11月に入って、急に寒くなってきました。
11月9日、行楽シーズンに加えて、市内でも行事が多いこの日、
美濃山コミュニティセンターで
乳幼児医療講座「子どもの病気にあわてないために 小児科医に聞こう」を開催しました。
講師は 医療法人石鎚会田辺中央病院副院長・小児科部長の近江園 善一先生
ご自身も3才のお子さんを持つお父さん、お髭がトレードマークの先生です。24時間対応救急病院の小児科医療最前線で活躍されています。これまでの豊富な経験をもとに、実例を織り交ぜながら、約2時間みっちり講演いただきました。
では、講座の様子を。。。。長い報告ですが、最後までお付き合いください。
季節柄、風邪でキャンセルがあったり、お子さんが熱で家族に預けてこられたりする中、ご夫婦連れの参加も複数組あり、みなさん熱心にメモを取る姿がありました。(実は先生ご本人も風邪気味だったとか・・・)
一般的な病気のおはなしと受診の目安、次に簡単に事故防止のポイント、最後に予防接種と感染症について丁寧にお話しいただきました。
まず、病気のおはなしの前にアイスブレーク代わりにでてきたのは、
参加者と一緒に考える「病気の常識非常識クイズ」
みなさんはわかりますか?
Q1.高熱だと脳障害になる?Q2.風邪は薬を飲まないと治らない?Q3.咳は止めないといけない?Q4.鼻水は止めるべき?Q5.下痢は止めるべき?
答はすべていいえ。
本来、38度くらいだとウイルスは死んでしまうそうです。抵抗力は熱がある方が高いそうです。つまり、熱がでるのは病気をやっつけようとする生理的な反応ということ。
咳も、鼻水も、下痢も、一般的な病気の場合は、原因になる病原に対抗するための反応です。
風邪になったとき、薬を飲んだとしても、その症状が緩和されるだけで、風邪そのものを治しているわけではないんですって。薬を飲んだら、症状を軽く見せる効果があるってこと。逆に総合感冒薬に入っている抗ヒスタミン剤は眠気を催す効果があるので、場合によっては気をつけないといけないこともあるかもしれませんね。
ただし、熱や咳、鼻水、下痢でも、薬を飲んだり、受診が必要な場合があります。
ぐったりしたり、咳が止まらなくて苦しい時、鼻水でも苦しい時やアレルギー症状、下痢は高熱を伴ったり、おしっこ回数が少ないとき(脱水症状)などなど。
上のクイズの他にも私たちが信じきっている病気になったときの対処法が意外にそうでもない例をいくつか教えていただきました。
たとえば、風邪をひいたら「お風呂はやめなさい」とわたしも母からよく言われましたが、特に重症でなければ別に入ってもいいんですって。長風呂でなければいいそうです。鼻の通りがよくなったり、循環を良くするので返って良い場合もあるそう。
傷のときの消毒、これも流水で先ず流すこと。ごみや汚れが傷口に付着していれば消毒の効果がありません。また、流水で洗い落すことでほとんど黴菌が流れるそうです。
その他、いろいろな意外に知らないホントの話。
本題の講義に入る前のお話でほとんど納得してしまった気になります。
そこでようやく本題。
一般的な病気(感染性の病気)って何?
メカニズムを簡単に言えば
病原体(細菌・ウィルス)などが体に入る→自然に体が治ろうと反応する(これが症状)
症状には①発熱 ②咳・鼻水 ③下痢・嘔吐 ④発疹 があります。
これらの症状が出たとき、一時的な軽い症状は心配いりません。
先ほどのクイズですでに納得できますね。
気をつけたいのは「呼吸」
「発熱」よりはるかに気にかける必要があるのは「呼吸が苦しそうなとき」だそうです。
熱で病院に来る人が多いが、呼吸で病院というのは少ない、ところが呼吸困難は命に関わることもあるとのこと。
呼吸が早かったり、ぜーぜー音、声のかすれ・・・・「呼吸」異常は酸素量が足りないということ、ぐったりしていたら病院へ!
呼吸困難を伴う病気では小さい子どもはRSウイルスに気をつけてください。RSウイルスはどこにでもいる誰でも感染するウイルスで、風邪の症状によく似ており、幼児期以降では鼻風邪程度の症状ですが、乳幼児は重症化しやすく、特に0才児は危険とのこと。RSウィルスの症状は呼吸困難が特徴だそうです。
その他、痙攣のときの対応や月齢年齢別の健康観察のポイントと受診の目安を教えていただきました。
子どもの急な病気で不安な時、病院へ行く前にお助けサイトや電話で相談もできます
子どもの救急 http://kodomo-qq.jp/
または
小児救急電話相談 #8000
これを覚えておくと、急な時に安心ですね。
事故予防で気をつけたいポイント、交通事故予防のポイントも教えていただきました。
子どもの目線に立つことで家庭内の事故は防ぐことができそうです。
交通事故では交通ルールの当り前の事をしっかりと守る、特に強調されたのはチャイルドシートの装着について、例えば時速40キロで衝突したときの衝撃はビル3階からの落下と同じ衝撃だそう。速度と事故の衝撃の程度をきくとチャイルドシートやシートベルトがいかに大事かわかりますね。
最後に伝染病と予防接種、ワクチンで予防できる病気について
日本で任意接種となっている病気で海外では定期接種が当たり前な病気があるそうです。
例えば、
・おたふく(流行性耳下腺炎)・・・合併症に難聴があるのはあまり知られていません
・B型肝炎・・・これは水平感染するので知らないうちに、例えば保育園で感染することもありえます。幼児が感染するとキャリア化しやすいそう。世界の子どもの75%が定期接種しているとのこと。
・水痘(水ぼうそう)・・・帯状疱疹は水痘にかかった人がなる病気だそう。水痘の免疫がない人にはおすすめのワクチンだそうです。
・ロタウィルス・・・ノロウィルスより重症化しやすい、6か月~2才児に多いそうです。
予防接種はややこしい感があります。予防接種で流行が抑えられているために、その効果が目に見えない、実感しづらいものですが、本当は、目に見えるほど流行したときにはパンデミック状態、分かったときは遅いのだと。だからこそ、ワクチンで予防できる病気はワクチンで防ぎましょう。
VPD(ワクチンで予防できる病気)については
http://www.know-vpd.jp
に詳しく書いてあります。アクセスしてくださいね。
赤ちゃんを抱っこして、受講するママの姿も。
2時間を超える講義では途中で立ってあやしながらも熱心に聴く姿が、あちらこちらで。
講義の後は質問コーナー
今回は保育を受け付けました。
スタッフにお子さんを預けて安心して受講できたようです。休憩時間に様子をのぞいて、大泣きされるシーンもあった様子。
時間いっぱい講義いただいた後、質問・相談にもていねいにお応えいただきました。
◎風邪の場合耳鼻科と小児科、また医師によって薬の出し方が違う場合、どれを選ぶべきか
◎薬はなるべくのまないほうがいいの?◎予防接種、肺炎球菌の新しいワクチンについて…etc.
基本は担当の医師と十分にコミュニケーションをとることが大切とのこと、疑問に思ったことは率直に聞いて、自分の意志で決めてくださいね。先生もきちんと説明した後は、患者さんの選択を尊重されているそうです。
終了後、何人もの個別に相談される方にも、ひとりひとりていねいに対応していただき、全て片付けたら外はすでに薄暗い夕方。
玄関フロアで、「わからんことがわかって、すっとした!!」とお友だちと話しながら、晴れ晴れと帰られる姿がありました。スタッフ冥利に尽きますね。
近江園先生、お忙しい中をありがとうございました。
参加者のみなさんからとても良かったと感想をいただきました。
アンケートから一部紹介・・・・・・
・薬のこと、ワクチンのこと、今までずーっと気になっていることがわかって、スッキリしました。ぜひ、パパやおじーちゃんおばーちゃんにも聞かせたい話ですね。
・薬の事や病気の事など、知っているようで知らない事がたくさんありました。下の子どもも2才になっているので、もっと早くこの講座に出会えれば、あわてる事なく育児して来れたかも、と思いました。特に0才児のお子さんを持つ方にはオススメの講座です。
・はじめての子どもで周りにすぐに聞ける人がいないので、今回、参加したことで、上手に対処できればと思いました。
・薬に関する考え方、受診の目安など、普段なかなか小児科の先生に聞けなかった話を伺うことができて、とても参考になりました。
・子どもの病気以外で、ワクチン、薬の事が詳しく内容が聞けてよかったです。
長い報告、最後までお付き合いありがとうございました。
なお、この事業は「笑顔で子育て」事業として平成25年度京都府地域力再生プロジェクト支援事業の補助を受けて行いました。