2012年11月20日火曜日

乳幼児医療講座「小児科医に聞こう」

紅葉もそろそろ終わりに近づいてきました。朝夕の冷え込みが冬を感じるようになってきましたね。
さて、11月のこどものひろばの行事、ブログでの報告が遅くなりました。
 
11月8日(木)、八幡市立生涯学習センター和室にて
乳幼児医療講座「小児科医に聞こう」を開催しました。
講師は田辺中央病院副院長兼小児科部長の近江園善一先生
この講座、昨年、初めて実施して、大好評だった企画です。
今年は、なぜか、受講申し込みが少なく、残念でしたが、逆に少人数でゆったり、しっかりおはなしを聞くことができました。質問にも丁寧にお答えいただき、12時きっかりまでたっぷり時間を使った、中身の濃い内容となりました。
 

おはなしのテーマは大きく3つ
☆日常かかりやすい病気(発熱、下痢、咳、発疹)についての考え方と健康観察(受診の目安)
☆日常生活での事故予防
☆予防接種について


1.日常かかりやすい病気(発熱、下痢、咳、発疹)についての考え方と健康観察(受診の目安)について
 発熱、下痢、咳、これらの症状は、どれもが病原体(最近・ウイルス)が体に入ったときに自然に体が治ろうとする反応です。
 発熱はウイルスや細菌の増殖を抑える防御反応、
 咳は体から痰を出すための防御反応、
 下痢・嘔吐はウイルスなどを出すための防御反応が多い・・・・
 したがって風邪で熱が出たとしても、元気ならば解熱剤はとくには必要ないとのこと。
風邪薬は特に飲む必要はない。咳止め薬も通常は必要ありません。鼻水はかむまたは吸引して、体外に出してやるように。

子育て力の向上を
本やインターネットで情報過多の現代、一方で、情報が限定されてしまう危険もあります。書いて通りに育たないことで育児不安に陥るお母さんも少なからずいます。
先生曰く、教科書通りの発育でなくても、一定の幅で発育していれば大丈夫とのこと。

健康観察の部分では
「発熱」よりはるかに気にかける必要があるのは「呼吸が苦しそうなとき」と教えていただきました。
じっとしていても「ハァハァ」としたり、顔色が悪い、喘鳴、声のかすれ・・・・「呼吸」異常は酸素量が足りないということ、ぐったりしていたら病院へ!


2.日常生活での事故予防
小児科では通常は外科診察はありませんが、救急処置の現場に応援に入ることが多い、救急病院医師として、特に気になることをいくつか教えていただきました。
 
 これからの季節気をつけることとして暖房器具の管理、食卓の管理(小さい子どもからはテーブルの上が見えないので、熱いものが入った食器をひっくり返しての事故がある)、少しの水でも溺れることがあるので溜め水に気をつける、また、余裕があれば救急救命講習を受けておくのもよいですねとのこと。
 

交通事故予防も大切です。特にチャイルドシートの重要性について、もし、これから出産を控えておられる方は退院時からのチャイルドシート着用をおすすめします。生まれた時から着用することでチャイルドシート着用が当たり前のことに習慣化できるのです。と。

3.予防接種のこと
VPD(ワクチンで予防できる病気)についてのおはなし。
不活化ポリオワクチンの導入、ヒブ・肺炎球菌ワクチンが公費助成になったとはいえ、日本のワクチンの現状は、世界的には大きく遅れています。
(こちらのサイトも参考にごらんください→「KnowVP-VPDを知って子どもを守ろう」http://www.know-vpd.jp/index.php
 定期接種と任意接種、どちらも必要な予防接種だそうです。
たとえば、水ぼうそうにかかると「早くうつして!」という会話が時に出ることがありますが、実際には重症化するととても怖い病気、年間に20~30人が死亡しているとのこと。けっして軽い伝染病ではありません。また、帯状疱疹との因果関係は最近よく知られていますが、水ぼうそう予防接種することで、ヘルペスの心配も「なくなるそうです。
その他にも合併症が怖い「おたふくかぜ」、水平感染するので知らない間に移ることもありキャリア化すると癌になりやすい「B型肝炎」…etc.

意外に、任意接種だからとやり過ごす場合が多い予防接種ですが、いずれも正しい知識を身につけて、考えて対応したいものです。


最後に
質問タイムでは、日頃気にかかっているが、お医者さんになかなか聞けないことをこの機会だからと、全員が質問や相談、一つ一つに丁寧に答えていただきました。

お子さんの身体的な不安に対しての質問には、個人個人に発達に差があったり、体系や体質が違うことがあるが、それらは病的なものは別として、大抵は個性の差という範疇のことです。発達でも標準の枠から逸れていたとしても、人と比べず、その子自身の発達を見て、むやみに心配しなくともよいと、アドバイスをいただきました。ただし、気になる場合は、専門医に相談してくださいね。

どうしても、毎日、自分の赤ちゃんを見ていると最初は少し気になるだけだったことが、そのうちどんどん心配になってきたり、本に書いてあることと違うと「うちの子、普通じゃない」と不安になってしまいがちですが、「個性の差」と大まかにとらえられたら、少しは気持ちが楽になりますね。

いつも感じることですが、子育ての時期は長い目で見れば本当に短い期間です。子育て中のお母さんにとっては、次々とはじめてのことだらけで、また次々新しい情報が入ってきて、大変です。が、ここだけはというポイントを忘れず、子育てできたらいいなと思います。正しい知識を身につけることで、少しは楽な気持ちで子育てに向き合えるのではと思います。


★子どもの急な病気で心配な時にはこんなサイトもご紹介いただきました。
 子どもの救急サイト http://kodomo-qq.jp

★子どもの急な病気の場合、小児救急医療電話相談 ♯8000 でも相談(平日19:00~23:00、土日15:00~23:00)ができます。※これは都道府県によって実施時間が異なります。大阪府、奈良県はこの通りではありませんのでお住まいの都道府県にお尋ねください。

以下、受講中の様子をごらんください。
乳児連れのママたちも、スタッフに子どもを任せて、しっかりお勉強。

スタッフも赤ちゃんをだっこしながらメモを取る。
まだ病気知らずのベビーちゃんのママもこれからの子育てに備えて予備知識にと参加。
 
3歳児さんはいっぱい用意したおもちゃをフル活用して、ママのお勉強に協力的!
こんなところで、はじめて出会う子ども同士が一緒に遊ぶことはステキなこと。
子どもの中に知らず知らずのうちに、コミュニケーション力が培われるのでしょうね。

新米ママちゃん、ベビーの育ちで不安に感じたことを質問、
先生がその場でしっかり見てくださいました。何の心配もなしとのこと。

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